ウソの温泉・ホントの温泉
2006.07.02 Sunday 12:39
白骨温泉の入浴剤問題をスクープした週刊ポスト記者が書いた“ウソの温泉・ホントの温泉”という本を読んだ.日本の温泉が抱える問題点の辺りをメモしておく.
日本の温泉はインチキが多かった.
温泉の定義が広すぎて消費者の求める温泉像と合っていない.また,温泉法が1948年に出来た法律で,循環湯,入浴剤などの技術が想定されていない.
脱衣所に出されている成分分析表は「源泉」の成分であって,浴槽の成分ではない.それが異なっていても違法ではない.
実際,循環湯では濾過して塩素を入れているので元の成分とは似てもにつかぬ物になっている.温泉から来た湯の使い回しよりわき水の掛け流し風呂の方がまし.
温泉法上25度以上なら成分に関係なく温泉を名乗れることになっているが,深く掘ればそれだけ熱い湯が出るので,実質は金さえだして深く掘ればどこでも温泉が出てしまう.東京であっても1500m掘れば温泉が出る.しかし,そのような温泉は自然のサイクルを無視しているので15年~30年で枯渇する.
同様に地熱発電所にて地下3000mからくみ上げた熱水,及び水蒸気も温泉法上の定義では温泉に該当する.
既にある源泉の近くで温泉を勝手に掘ることが出来ないため,温泉は既得権となっている.しかし,既に権利を持っている宿からすれば,温泉を枯渇させないためには量を増やすことは出来ないし,自分の宿のサービスレベルを保つためには他に分け与える余裕はない,となる.
温泉の湧出量によって受け入れられる人数が決まるということを無視して風呂を拡張したり新規に宿を作ったりするから湯が足りないということになる.
周囲の大規模開発によって地下水脈が切られて温泉が出なくなってしまうことがある.上越新幹線工事では水上温泉や湯沢に影響が出た.他に高速道路,地熱発電所等も影響を及ぼす.
由布院であった問題:どこを掘っても温泉が出る土地でも周囲の許可無く温泉を掘れないので,湯量が豊富であっても持つ物と持たざる物が生まれてしまう.そこで,水をとるための井戸を掘ると申請して実際には温泉水が出てくるという,温泉との認定を受けていない闇温泉.これは明らかに違法なので,埋め戻すよう指導された.
本物の源泉を持っていても次のような理由で加水することがある.
1. 高温の源泉の温度を自然に下げるのは非常に難しいので,やむを得ず.これについては冷水との熱交換によって温度を下げる設備を使って水を加えないようにしているところもある.
2. 源泉の成分が濃すぎて体に良くない.
濁り湯は源泉掛け流しを暗に意味するとのことで人気が高まったという背景もある.なぜなら,循環すると濾過するので濁りが無くなってしまうから.入浴剤混入はこれを逆手に取ったとも言える.
新潟の会社が作った温泉製造器,というか温泉エミュレータというか.自由な水質を再現できる装置がある.
循環式浴槽において,浴槽からあふれ出た水を回収して濾過するもの.水を回収するところが見えないので循環式と一目ではわからない.
掛け流すためには旅館の定員一人あたり1L/分の湯量が必要.
本物の源泉なら飲用禁止のはずがない
源泉掛け流しでは湯が入れ替わりにくいので念入りな清掃が必要.
温泉法の問題点
温泉の定義が広すぎて消費者の求める温泉像と合っていない.また,温泉法が1948年に出来た法律で,循環湯,入浴剤などの技術が想定されていない.
脱衣所に出されている成分分析表は「源泉」の成分であって,浴槽の成分ではない.それが異なっていても違法ではない.
実際,循環湯では濾過して塩素を入れているので元の成分とは似てもにつかぬ物になっている.温泉から来た湯の使い回しよりわき水の掛け流し風呂の方がまし.
温泉法上25度以上なら成分に関係なく温泉を名乗れることになっているが,深く掘ればそれだけ熱い湯が出るので,実質は金さえだして深く掘ればどこでも温泉が出てしまう.東京であっても1500m掘れば温泉が出る.しかし,そのような温泉は自然のサイクルを無視しているので15年~30年で枯渇する.
同様に地熱発電所にて地下3000mからくみ上げた熱水,及び水蒸気も温泉法上の定義では温泉に該当する.
温泉の街で温泉でない理由
理由1
既にある源泉の近くで温泉を勝手に掘ることが出来ないため,温泉は既得権となっている.しかし,既に権利を持っている宿からすれば,温泉を枯渇させないためには量を増やすことは出来ないし,自分の宿のサービスレベルを保つためには他に分け与える余裕はない,となる.
温泉の湧出量によって受け入れられる人数が決まるということを無視して風呂を拡張したり新規に宿を作ったりするから湯が足りないということになる.
理由2
周囲の大規模開発によって地下水脈が切られて温泉が出なくなってしまうことがある.上越新幹線工事では水上温泉や湯沢に影響が出た.他に高速道路,地熱発電所等も影響を及ぼす.
理由3
由布院であった問題:どこを掘っても温泉が出る土地でも周囲の許可無く温泉を掘れないので,湯量が豊富であっても持つ物と持たざる物が生まれてしまう.そこで,水をとるための井戸を掘ると申請して実際には温泉水が出てくるという,温泉との認定を受けていない闇温泉.これは明らかに違法なので,埋め戻すよう指導された.
本物であっても加水する理由
本物の源泉を持っていても次のような理由で加水することがある.
1. 高温の源泉の温度を自然に下げるのは非常に難しいので,やむを得ず.これについては冷水との熱交換によって温度を下げる設備を使って水を加えないようにしているところもある.
2. 源泉の成分が濃すぎて体に良くない.
濁り湯の意味
濁り湯は源泉掛け流しを暗に意味するとのことで人気が高まったという背景もある.なぜなら,循環すると濾過するので濁りが無くなってしまうから.入浴剤混入はこれを逆手に取ったとも言える.
温泉に関わる技術
温泉製造器
新潟の会社が作った温泉製造器,というか温泉エミュレータというか.自由な水質を再現できる装置がある.
オーバーフロー還水方式
循環式浴槽において,浴槽からあふれ出た水を回収して濾過するもの.水を回収するところが見えないので循環式と一目ではわからない.
本物を見分けるポイント
掛け流すためには旅館の定員一人あたり1L/分の湯量が必要.
本物の源泉なら飲用禁止のはずがない
源泉掛け流しでは湯が入れ替わりにくいので念入りな清掃が必要.
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