家電の高機能指向の意味(Re: Kova)
2008.01.12 Saturday 20:43
KovaさんのOver the qualityという記事と関係することを数日前に考えていたので書いておく.
家電製品に関して,日本では割高な上位機種でも売れるので開発費が回収でき,その機能が次は普及価格帯にも搭載されてラインアップ全体が底上げされるのに対して,米国では高級機が全く売れないのでいつまで経ってもしょぼい機種しか入手できないという話を耳にしたことがある.
もう1つ.インドで安い携帯電話は4000円位で買えるらしい.ただし音声とSMSのみ.それに対して日本は数万円の電話機が売れる.
このような「上位機種を買う」という行動がどのような意味を持つのか考えてみた.
家電製品に関して,日本では割高な上位機種でも売れるので開発費が回収でき,その機能が次は普及価格帯にも搭載されてラインアップ全体が底上げされるのに対して,米国では高級機が全く売れないのでいつまで経ってもしょぼい機種しか入手できないという話を耳にしたことがある.
もう1つ.インドで安い携帯電話は4000円位で買えるらしい.ただし音声とSMSのみ.それに対して日本は数万円の電話機が売れる.
このような「上位機種を買う」という行動がどのような意味を持つのか考えてみた.
上位機種を買う人は下位機種との違いを理解していることになる.そして,上位機種の「より便利」「標準以上」の部分に対して追加費用を払うわけである.
自分の出した結論は,(日本の)「文化」.
追加費用は物(原材料)ではなく付加価値,すなわち人間により作り出された価値に支払われている.たとえば高精細液晶は「物」ではないかと反論が出るかもしれないが,技術開発によって生まれた液晶は最近高騰している穀物や原油とは性質が異なるものである.
ユーザが上位機種を(割高でも)買ってくれるためには,まず消費者にそれを「手が出ない」と思わせないほどの購買力があることが必要だ.「手が届かない」ものは売れるわけがない.その上でメーカーが出す新機能,新コンセプトにユーザが喜んで乗って来るという国民性(文化)があるのだと思う.だからメーカーも知恵を絞って高機能化を図ろうとするのではないかと思う.
新興国では購買力の面で,それ以外の国でもユーザの考え方の違いで日本の製品が競争力が無いということになるのだろう.違いが消費者に伝わっていないために,消費者が高級機種を選択できない可能性もある(特にアメリカ).アメリカでは液晶テレビでもスーパーで箱に入ったまま売られていて,店頭で高級機が違いをアピールできない,という記事がしばらく前の日経エレクトロニクスにあった.また,自分としても7年ほど前アメリカに行ったとき,VHSビデオテープに「6hrs」「8hrs」と大きく書かれているのを見てアメリカ人の感性を疑った記憶がある.(3倍モードで使うことが前提?)
返品可能だから,あまり考えずに買っちゃうとか.販売システムの違いもあるかもしれない.
日本の消費者(or 販売店),が世界的に見て特殊なのかな.工業製品ではないけど,自分がコーヒー飲料を買うときは必ず原材料を見て成分をチェックする.実際「砂糖」「コーヒー」「生乳」「乳製品」などかなり異なる.最初に「砂糖」と書いてあったらどんなに安くても絶対買わない.高くても「生乳」「コーヒー」を選ぶ.他の人はこういうことしないのかな?
逆の例もある.アメリカでは車のヘッドライトが明るさに応じて自動でON/OFFされる機能があるのに,トンネルの多い日本ではその機能が付いている車が少ない.なぜ?
Kova氏の見たテレビ番組を自分は見ていないので外しているかもしれないが,こういうたとえはどうだろうか.
「のだめカンタービレ」で「クラッシックをやるならヨーロッパへ」と出てくるようににクラッシック音楽は「本場」ヨーロッパのレベルが高い(んだと思う).これは当然それに対してコストを負担する消費者が多数いて初めて成り立ち,観客が高い芸術性を求め,理解することで演奏者も切磋琢磨してハイレベルを目指す.
日本のメーカーも日本の消費者が高品質・高機能についてくるからさらなる高性能機種を開発する.何か違うところ有る?
逆に「クラシックは品質を求めすぎ.世界の消費者に理解されない」「オーケストラは高コストだ.人員削減しろ」と言ったらどうだろう?
それとも日本市場がじり貧だから日本の消費者なんか相手にしていても成長できないよ.って言いたいのかな?いずれにしても,日本と同じ製品が海外で売れないというのはメーカーにとっては不幸だ.半歩進んだ製品は売れるが一歩進んだ製品は売れないいう話かな.
日本の携帯電話はちょっと特殊なので,それを取り上げて日本全体がどうこうと言うのはミスリードかもしれない.日本はDoCoMoがほしい物を「作らせる」からメーカーの競争力が付かないとか言われる.ソフトの所有権がDoCoMoにあって,メーカーが海外販売しにくいとかあるのかな?キャリアとしては「多くの中から選ぶ自由」を演出したいのだろうけど,実は「選ばれなかった」機種のコストも消費者が暗に負担していると言ったら言い過ぎ?
ただ「工業製品」が最終消費財のみの議論だとするとちょっと偏っているような気もする.実は日本からの輸出は部品・材料がかなり多いらしいので.たとえば電子部品とか特殊鋼板とかハードディスクの磁気ディスクとか(想像).こういう物は「質を求めすぎ」ってことは無いでしょ.
「品質」の定義がそもそも異なるのかな.
最近「日本は少子高齢化で先行き真っ暗」みたいな論調があちこちに出ているが,どう考えても日本は世界的に見て高性能な工業製品であふれかえっていて,いまいち現実味がわかない.地方が疲弊しているとかGDP順位が落ちているとか言われるけど,VGAでWebやワンセグが見られる電話をみんな持ってるじゃん!光ファイバーも簡単に引けるし.都会だけかな?それとも今だけ?
現状に満足したら成長はないかもしれないけど,満足できなくなるほど日本が没落するかと言われたら...どうだろう?
自分の出した結論は,(日本の)「文化」.
追加費用は物(原材料)ではなく付加価値,すなわち人間により作り出された価値に支払われている.たとえば高精細液晶は「物」ではないかと反論が出るかもしれないが,技術開発によって生まれた液晶は最近高騰している穀物や原油とは性質が異なるものである.
ユーザが上位機種を(割高でも)買ってくれるためには,まず消費者にそれを「手が出ない」と思わせないほどの購買力があることが必要だ.「手が届かない」ものは売れるわけがない.その上でメーカーが出す新機能,新コンセプトにユーザが喜んで乗って来るという国民性(文化)があるのだと思う.だからメーカーも知恵を絞って高機能化を図ろうとするのではないかと思う.
新興国では購買力の面で,それ以外の国でもユーザの考え方の違いで日本の製品が競争力が無いということになるのだろう.違いが消費者に伝わっていないために,消費者が高級機種を選択できない可能性もある(特にアメリカ).アメリカでは液晶テレビでもスーパーで箱に入ったまま売られていて,店頭で高級機が違いをアピールできない,という記事がしばらく前の日経エレクトロニクスにあった.また,自分としても7年ほど前アメリカに行ったとき,VHSビデオテープに「6hrs」「8hrs」と大きく書かれているのを見てアメリカ人の感性を疑った記憶がある.(3倍モードで使うことが前提?)
返品可能だから,あまり考えずに買っちゃうとか.販売システムの違いもあるかもしれない.
日本の消費者(or 販売店),が世界的に見て特殊なのかな.工業製品ではないけど,自分がコーヒー飲料を買うときは必ず原材料を見て成分をチェックする.実際「砂糖」「コーヒー」「生乳」「乳製品」などかなり異なる.最初に「砂糖」と書いてあったらどんなに安くても絶対買わない.高くても「生乳」「コーヒー」を選ぶ.他の人はこういうことしないのかな?
逆の例もある.アメリカでは車のヘッドライトが明るさに応じて自動でON/OFFされる機能があるのに,トンネルの多い日本ではその機能が付いている車が少ない.なぜ?
Kova氏の見たテレビ番組を自分は見ていないので外しているかもしれないが,こういうたとえはどうだろうか.
「のだめカンタービレ」で「クラッシックをやるならヨーロッパへ」と出てくるようににクラッシック音楽は「本場」ヨーロッパのレベルが高い(んだと思う).これは当然それに対してコストを負担する消費者が多数いて初めて成り立ち,観客が高い芸術性を求め,理解することで演奏者も切磋琢磨してハイレベルを目指す.
日本のメーカーも日本の消費者が高品質・高機能についてくるからさらなる高性能機種を開発する.何か違うところ有る?
逆に「クラシックは品質を求めすぎ.世界の消費者に理解されない」「オーケストラは高コストだ.人員削減しろ」と言ったらどうだろう?
それとも日本市場がじり貧だから日本の消費者なんか相手にしていても成長できないよ.って言いたいのかな?いずれにしても,日本と同じ製品が海外で売れないというのはメーカーにとっては不幸だ.半歩進んだ製品は売れるが一歩進んだ製品は売れないいう話かな.
日本の携帯電話はちょっと特殊なので,それを取り上げて日本全体がどうこうと言うのはミスリードかもしれない.日本はDoCoMoがほしい物を「作らせる」からメーカーの競争力が付かないとか言われる.ソフトの所有権がDoCoMoにあって,メーカーが海外販売しにくいとかあるのかな?キャリアとしては「多くの中から選ぶ自由」を演出したいのだろうけど,実は「選ばれなかった」機種のコストも消費者が暗に負担していると言ったら言い過ぎ?
ただ「工業製品」が最終消費財のみの議論だとするとちょっと偏っているような気もする.実は日本からの輸出は部品・材料がかなり多いらしいので.たとえば電子部品とか特殊鋼板とかハードディスクの磁気ディスクとか(想像).こういう物は「質を求めすぎ」ってことは無いでしょ.
「品質」の定義がそもそも異なるのかな.
最近「日本は少子高齢化で先行き真っ暗」みたいな論調があちこちに出ているが,どう考えても日本は世界的に見て高性能な工業製品であふれかえっていて,いまいち現実味がわかない.地方が疲弊しているとかGDP順位が落ちているとか言われるけど,VGAでWebやワンセグが見られる電話をみんな持ってるじゃん!光ファイバーも簡単に引けるし.都会だけかな?それとも今だけ?
現状に満足したら成長はないかもしれないけど,満足できなくなるほど日本が没落するかと言われたら...どうだろう?
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