宮本常一 『忘れられた日本人』
2009.06.24 Wednesday 20:19
民俗学者である宮本常一が著した『忘れられた日本人』を読んでいる.
宮本常一が各地を回った記録が書かれている.主観的な判断を加えることなく,人々が話したことがありのままに書かれており,昭和の初め頃の漁村,農村,山村で人々がどのような暮らしをしていたのかが生々なしく浮き上がってくる.
宮本常一が各地を回った記録が書かれている.主観的な判断を加えることなく,人々が話したことがありのままに書かれており,昭和の初め頃の漁村,農村,山村で人々がどのような暮らしをしていたのかが生々なしく浮き上がってくる.
時期的には終戦後,昭和20年代の話であろうか.今から60年ほど前であるが,今とは異なる価値観,時間感覚を感じる.それと同時に,現代の生活とのギャップから文明のもたらしたもの,失われたものが何かを考えさせられる.
宮本常一は本書の中で自分の祖父の話を書いており,それもまた他の例と同様に農村の生活の一端である.そのような著者にとって調査・記録した村というのは当時としては激しく変わった地域というわけではなく当たり前の農村風景だったのだろう.もちろん,高齢者の話を主体としているので彼にとっても数十年前の話ではあったではあろうが,それでいてもそれをそのまま記録したことがさらに数十年後に驚きを持って読まれることまで見通していたのであろうか.
宮本常一は本書の中で自分の祖父の話を書いており,それもまた他の例と同様に農村の生活の一端である.そのような著者にとって調査・記録した村というのは当時としては激しく変わった地域というわけではなく当たり前の農村風景だったのだろう.もちろん,高齢者の話を主体としているので彼にとっても数十年前の話ではあったではあろうが,それでいてもそれをそのまま記録したことがさらに数十年後に驚きを持って読まれることまで見通していたのであろうか.
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