桜桃忌
2011.06.19 Sunday 22:29
本日は三鷹市役所敷地内にあるC-Cafeのランチビュッフェの日でもあるため,C-Cafeにて知人と合流することにした.
ランチビュッフェの一番の目玉はカレー.水分量が多く鍋の中で分離しているのを底の方からすくって椀に盛る.スプーンで口に運ぶと何かすり下ろされた物が口の中を通っていくのが分かる.すり下ろされたものはタマネギとのこと.
満腹になったところで歩いて禅林寺に向かう.市役所からは約1.3km.
禅林寺に到着したのは午後2時半頃.構内で開催されていた講演会に人が群がってはいたものの,来訪者のピークは過ぎているとのこと.建物の裏手の墓地へ行くと墓の前に人が群がっていてすぐに分かる.
太宰の墓の前には数々の供え物が並べられていた.サクランボはもとより,ビール,日本酒,コーヒー等々.見ている間にも次々と人が訪れ,桜桃・酒・書籍など様々な物が供えられてゆく.
墓石に彫られた文字がちょうどサクランボの大きさにぴったりなためか,我々が着いた時には既に文字の部分にサクランボが押し込まれていた.ただ,さずがにそれはやり過ぎだと思う.そもそも故人のことを考えているのか疑問だ.
禅林寺を出ると,門の前で三鷹観光ガイド協会の方々がガイドツアーの参加者を募っていたので,その後ガイドについて周辺を回りながら1時間くらいかけて各所を回り,最後に三鷹駅付近で解散となった.
さて,大量のサクランボが墓前に供えられているのを見て,太宰治は桜桃が好きだったのか?という疑問がわいてきたので,ちょっと青空文庫で調べてみた.
まず,青空なまず君で“桜桃 and 太宰治”で調べると,『桜桃』という言葉が出てくるのは以下の4作品と分かる.
1. お伽草紙
2. フォスフォレッスセンス
3. もの思う葦
4. 桜桃
『桜桃』以外は読んだことがないのだが,とりあえず言葉の出てくる箇所を見ていこう.
1. お伽草紙
『浦島さん』の中で『海の桜桃』として登場する.
2. フォスフォレッスセンス
冒頭に近い部分で,以下の会話中に登場する.
3. もの思う葦
『虚栄の市』において,「官能的な桜桃色の唇」と色の表現として登場する.「児島喜久雄というひとの解説がついている。」とあるように引用文の中の表現のため,太宰治自身の見方とは関係ないようだ.
4. 桜桃
結論としては,明確に本人の好き嫌いは分からないが,1と4から推測するに桜桃を何か特別な食べ物とは認識していたように見える.なので,桜桃を供えるのは故人にとってもそれなりに意味があるだろう.
ただし,繰り返すが墓石に詰め込むのはちょっとどうかと思う.
ランチビュッフェの一番の目玉はカレー.水分量が多く鍋の中で分離しているのを底の方からすくって椀に盛る.スプーンで口に運ぶと何かすり下ろされた物が口の中を通っていくのが分かる.すり下ろされたものはタマネギとのこと.
満腹になったところで歩いて禅林寺に向かう.市役所からは約1.3km.
禅林寺に到着したのは午後2時半頃.構内で開催されていた講演会に人が群がってはいたものの,来訪者のピークは過ぎているとのこと.建物の裏手の墓地へ行くと墓の前に人が群がっていてすぐに分かる.
太宰の墓の前には数々の供え物が並べられていた.サクランボはもとより,ビール,日本酒,コーヒー等々.見ている間にも次々と人が訪れ,桜桃・酒・書籍など様々な物が供えられてゆく.
墓石に彫られた文字がちょうどサクランボの大きさにぴったりなためか,我々が着いた時には既に文字の部分にサクランボが押し込まれていた.ただ,さずがにそれはやり過ぎだと思う.そもそも故人のことを考えているのか疑問だ.
禅林寺を出ると,門の前で三鷹観光ガイド協会の方々がガイドツアーの参加者を募っていたので,その後ガイドについて周辺を回りながら1時間くらいかけて各所を回り,最後に三鷹駅付近で解散となった.
さて,大量のサクランボが墓前に供えられているのを見て,太宰治は桜桃が好きだったのか?という疑問がわいてきたので,ちょっと青空文庫で調べてみた.
まず,青空なまず君で“桜桃 and 太宰治”で調べると,『桜桃』という言葉が出てくるのは以下の4作品と分かる.
1. お伽草紙
2. フォスフォレッスセンス
3. もの思う葦
4. 桜桃
『桜桃』以外は読んだことがないのだが,とりあえず言葉の出てくる箇所を見ていこう.
1. お伽草紙
『浦島さん』の中で『海の桜桃』として登場する.
「これは海の桜桃の花です。ちよつと菫に似てゐますね。この花びらを食べると、それは気持よく酔ひますよ。(中略) 竜宮ではこの藻を食べて、花びらで酔ひ、のどが乾けば桜桃を含み、乙姫さまの琴の音に聞き惚れ(以下略)」『海の桜桃』は架空の食べ物なのだろうが,桜桃自身が素晴らしい食べ物の代表と位置づけられているように思える.
2. フォスフォレッスセンス
冒頭に近い部分で,以下の会話中に登場する.
「しばらく逢わなかったけど、どうしたの?」この中では桜桃の善し悪しについては触れていない.
「桜桃を取りに行っていたの。」
「冬でも桜桃があるの?」
「スウィス。」
「そう。」
3. もの思う葦
『虚栄の市』において,「官能的な桜桃色の唇」と色の表現として登場する.「児島喜久雄というひとの解説がついている。」とあるように引用文の中の表現のため,太宰治自身の見方とは関係ないようだ.
4. 桜桃
私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。食べさせたら、よろこぶだろう。父が持って帰ったら、よろこぶだろう。蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚の首飾りのように見えるだろう。まず,これは小説であって太宰治自身の話ではない.しかし「ぜいたくなもの」にはは作者の考えが現れていると考えて良いのではないか.
しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、極めてまずそうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。
結論としては,明確に本人の好き嫌いは分からないが,1と4から推測するに桜桃を何か特別な食べ物とは認識していたように見える.なので,桜桃を供えるのは故人にとってもそれなりに意味があるだろう.
ただし,繰り返すが墓石に詰め込むのはちょっとどうかと思う.
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